2010年01月21日(木) 更新
[イベントレポ] 蔵活用市民塾 Vol.2
1月14日(木)午後4時から蔵活用市民塾が開催されました。
今回は講師に小山工業高等専門学校名誉教授で日本の建築史の第一人者である河東義之先生を招き、「東日本の蔵のまちを巡る」をテーマに講演していただきました。
前回同様、蔵に関心を持つ、大勢の市民の参加がありました。
講演内容を簡単にご紹介いたします。
○ 蔵の普及経緯について
江戸時代、大火が相次いだため防火対策として蔵が普及していった。
その後、商人たちの間で蔵が財力の象徴となり、屋根を大きく見せようとする建築が相次ぎ、江戸後期には見世蔵(店蔵)が普及しはじめ、明治初期にかけて東日本の繁華な地域を中心に蔵のまちとしての景観が形成されていった。
○ 各地の普及理由
・大火をきっかけに一気に普及したケース(川越市、喜多方市、高岡市など)
・目立った大火もなく徐々に普及したケース(村田町、結城市、真壁町など)
○「江戸型」の普及傾向
各地で導入され普及したその全てが江戸型の特徴を持つものではなかった。
所沢市、青梅市、村田町の置屋根形式、高岡市における鉄柱の土庇、棟飾り、小樽市の木骨石造、須坂の土壁など、その土地の地場産業や気候、地理、さら地域住民の気質などが大きく影響しているといえる。そのなかで、もっとも純粋な江戸型見世蔵を普及させた地域は、川越市や栃木市、下館市、古河市などであった。
といったように蔵に関する歴史・経緯や同じ蔵のまちでもそれぞれ地域の特性によって、建築形式・蔵の活用方法に違いが見られることなど大変勉強になったとともに、実際に東日本の蔵のまちを旅してきたかのような充実した時間になりました。