増田家(山本 富一郎 さん)
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増田家(山本 富一郎さん)
住所:古河市大手町2-1 電話:0280-22-0315 FAX:0280-22-0315
営業時間:11:00~20:00 定休日:木曜日
ご商売について簡単に教えてください。
明治35年創業の、うなぎや鯉等の川魚料理を中心に楽しんでいただける和食店です。
古河は海から遠く(茨城県での中では一番海から遠い街(市))渡良瀬川が流れているという土地柄、うなぎや鯉、鮒(甘露煮等)等の川魚の料理が盛んな街です。
そんな川魚の街で、今でも炭を使い、うなぎ等の料理を昔と変わらぬ調理法で、お客様に提供しております。
ご商売へのこだわりや工夫は何ですか?
料理は、一品一品に、気持ちをこめてお造りしております。
また、魚を炭火で焼く事も昔から変わらぬこだわりです。
当店では炭(備長炭)を使っているので、その炭を仕入れる際、仕入れ業者さんから「こんな炭が出来たんだ」と、時々炭の新製品のサンプルを頂いたりします。今の技術を用いて作られたもので、製造コストを抑えられるために安く提供できる(炭の仕入れを安くできる)との事なのですが、実際に使ってみると、火力が弱かったり、調節がしにくかったりと、料理の出来を左右する要素が今までの炭とやはり違い、採用するに至りませんでした。
今でも炭を使っているお店が減って来たため、作られる炭も前と比べるとずいぶんと少なくなりました。そういった炭を使う事で、わずかかもしれませんが、価格に反映させることが出来るのかもしれませんが、そのわずかの価格の違いより、美味しさを優先しています。
ガンコと言われるかもしれませんが、職人だからこそ、こだわりたいところでもありますので。
ご商売の魅力とはなんですか?
「あ~おいしかった…」という言葉をいただける事が魅力ですね。
やはり可能な限りこだわって調理していますので、そのこだわりが結果「美味しさ」として伝わり、喜んでいただけた時は嬉しいものです。
お客様には、料理を出すタイミングを含め、当店ができる一番のサービスを提供したいと考えてますので、喜んでいただくためにも、ご来店の際には、ぜひご予約をしていただきたいと考えています。
おすすめの商品やサービスについて教えてください。
こだわった炭火で焼く事で、炭の香りも楽しめる、うなぎや鮎などの焼き魚をぜひ楽しんでいただきたいです。
また、すっぽん鍋も皆(4名様くらい)で雑炊まで楽しめるので、徐々に人気が出て来ています。
焼きとは違った調理で鮎が楽しめる鮎釜飯もオススメです。
●鮎の塩焼き 400円
●すっぽん鍋(約4人前) 10000円
●鮎釜飯 1200円~
夢や展望をおきかせください。
天然の魚の、仕入れとお値段のバランスが安定するのはとても難しいのですが、それらの美味しい素材を使って、1日限定人数で、当店の充実したサービスとメニューでお客様にお食事と楽しい時間を過ごしていただく事です。
今、天然の魚は安定して仕入れる事がとても難しく、それに伴い、お値段がどうしても高くなってしまうので、商売になりにくいというのが現実なのですが、やはり天然だから楽しめる、その味は全然違います。天然いわなの塩焼きなんて、最高ですね。
理想と現実、こだわりと商売のせめぎあう部分です。
趣味は何ですか?
今はお手頃な料金で楽しめる様になったので、休日を利用して体を動かし、心身共にリフレッシュしています。
編集後記
今回のインタビューは、増田家さん。知っとこインタビューでは、既に何軒かの川魚料理を提供するお店を紹介させていただいていますが、創業明治35年という、長きに渡り、古河の食文化を守り続けてくれているお店の一つです。
前述した通り「こだわり」を持って商売をされてますが、うなぎの仕入れ価格の高騰や、炭が入手しにくくなってきてる事などから、商売をするにあたって、何とも厳しい状態である様です。
いろいろとお話をさせて頂いている中で感じたのは、20~30年の時間で、社会も経済も食生活も激変し、その影響を受けているという事。
深刻だなと感じた事の一つは、牛丼などを提供しているファストフード店が、扱う商品を広げ、極めて低価格で「うなぎ」を提供しているという現状。
今までうなぎを食したことのない消費者、特に若い世代の方が、「安いなら食べてみようかな」と食べてみた時、ファストフードの提供するメニューとして出されたそれを「美味しくない」と感じてしまったら大変ではないでしょうか?
消費者として、どんな食事をどんな角度から楽しんでもそれは自由なのですが、敷居の低さから、正統でないルートからそれに触れた時、その「初めて」から受ける影響はとても大きいからです。
山本さんはおっしゃいました。お店の提供できる最高の状態で食事を楽しんでほしいと。理想はお客様にご予約を頂き、来店されたベストのタイミングで最高の食事を提供する事だそうです。それは正に、さっと来店して、さっと料理を出されて、さっと安い金額を支払って、さっと帰るファストフードとは対局にあるもの。
その手間ひまかけて一生懸命作った料理を、ゆっくりした時間と空間で楽しむそこでは、自然と会話も生まれ、同時に心も満たされます。
食生活が変わり、栄養が偏ったり添加物が増えたことで、(特に子供の)心に影響を与えている事なども報告されてますが、決してそれだけではない大切な要素は、社会の急激な変化によって置いて行かれてしまったのかもしれません。
温かい鍋を囲んで楽しむ料理と時間の魅力を知る事ができたから、数人で楽しめるスッポン鍋の人気が高まって来たのかもしれません。
かつて魚の捕れた川、渡良瀬川に向かう「渡良瀬坂」と名付けられたその道沿いで、増田家さんは皆さんを待っています。
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