2010.08.23
野外演劇「木隠れの月」 by もも子 [日記]
古河公方ゆかりの地である古河総合公園管理棟で「木隠れの月」の公演がありました。
開演時間が夜ということで、闇に包まれた舞台はライトで照らされ、何ともいえない神秘的な雰囲気を醸し出していました。
今年は、古河公方移座555年にあたり、しかも、新古河市合併5周年という節目の年で、特別の演出だったのでしょうか?
座布団とイスを三方にセットしたかなりの席数に、お子さんから熟年世代まで幅広い年代層の方がびっしり入っていました。
入り口で買い求めたビールやお茶などの飲み物、そしてかき氷、おいなりさんを頬張りながらの観賞はとても和やかな雰囲気でした。
前面開放の野外公演の敵は“薮蚊”、そこに主催者側の心遣いがありました。「虫除けスプレーをご自由にお使いください」とのサービスには嬉しくなりました。
持参したうちわでパタパタとあおぎながらの観賞も、普通ではない趣のある風情となりました。
もののけのすり足での登場スタイルは、一種異様な雰囲気があったけれど、展開を追っていくと、納得できる登場だったのでした。
テーマは、「忠義・信義」なのでしょうか?
台詞の中にあった「月が見ている」という言葉が妙に響きました。
頼政の句から今回のタイトル「木隠れの月」が生まれたのでしょう。
“ 人知れぬ 大内山の 山守は
木隠れてのみ 月を見るかな ”
また、陽香院の台詞の中の平家物語の冒頭部分
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰(じょうじゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。おごれる人も久しからず、唯(ただ)春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏(ひとえ)に風の前の塵(ちり)に同じ
その通りと改めて考えさせられました。
最後の主催者の挨拶では、「演劇を通してまちづくりをしています。」その言葉が伝わってきて、古河公方の150年の歴史の中の3作目にふさわしい大変素晴らし公演でした。
そして、時に能楽を思わせるような動きを見ていると、この同じ舞台で「薪能」の公演も可能なのではないかと思ったりもしたのでした。
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